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vol. 5

オーストラリアの社会福祉制度(5): 家屋の賃貸借をめぐるトラブルの対処法/運転免許の取り方: ヴィクトリア州の場合/運転免許の取得についての解説/Melbourne Sexual Health 3 Centre のご紹介/性行為感染症の相談・検査・治療を匿名で受けられる機関の紹介

2020-01-21

ホープコネクションからのご挨拶

HOPE CONNECTION INC. 会長 デービス 洋子


今年の夏は、山火事に悩まされた人達もいれば、北部準州キャサリーン地方の大洪水による大きな被害を被った人達、共に家屋を無くされ路頭に迷った大勢の人達を出して秋を迎えております。私がその都度感心することは、こうした悲惨なニュースが伝えられるとすぐボランティアによる救済活動が開始され、その輪がたちまち拡がるということです。「明日は我が身」とは思いたくありませんが、人間いつどこで、どのような形で助けが必要になるかわかりません。そんな不安感を感じたときに、ホープコネクションの電話相談がお役に立つのではないでしょうか。

電話相談も件数が増えてまいりました。今年からは活動にいつもご協力いただいている方から3台携帯電話を寄贈していただき、相談窓口にあたっております。会員一 同、大変助かっております。この紙面をお借りして、ご報告・感謝させていただきま す。さらに庭野平和財団、 Melbourne Good Neighbour\'s Trust Fund等から助成金提 供を受け、ホープコネクションはこれからも活動内容の充実に全会員はりきっており ます。

1998年に入り、田家先生をお招きして開催しました、「ホープコネクション・ カルチャースクール第3弾:オーストラリアの政治入門」には、30人以上の方が興 味を持って参加してくださり、当カルチャースクールは好調なスタートを切りまし た。

このように電話での相談はもとより、定期的なセミナーや生活に必要な情報を提供 する生活講座なども、順次企画しております。

カルチャースクール、好評です

去る2月20日(金)、ようやくホリデー気分から抜け出た頃でしたが、第3回カ ルチャースクール、「オーストラリアの政治入門」が開催され、主催者の予想をはる かに越える30名余りの方が受講されました。講師をビクトリア大学社会学部教授の 田家洋信先生にお願いし、州政府、連邦政府の機構の仕組み、選挙制度、国民の政党 選択の傾向、アボリジニーの土地権の問題、ホットな話題となっている共和制移行の 問題などを分かりやすく解説していただきました。学校でやっている課題の参考にし たいのでと細かにメモを取っておられた若い方、静かにうなずきながら聞き入ってお られたご年輩の方、また翻訳の学習に役立てたいと資料をいただいておられた方、本 当に皆さん熱心に聴講されました。在豪20年余の田家先生のお話はエピソードも豊 富で、話題も幅広く「肩の凝らない政治の話」を十分楽しませていただけたのではな いでしょうか。なお、当日は私共にとっても嬉しい悲鳴が出たほど、沢山の方がおい でになられ、会場の準備等で至らない点がありましたことをおわび申し上げます。

政治講座が好評でしたので、今後はシングルイシューを取りあげたプログラムや、 健康講座、若い女性のためのボディープロテクションなども企画しております。次回 は「新来豪者のための生活講座」を予定しております。詳しくは4頁をご覧下さい。 カルチャースクールに関しましての皆さんのご意見、ご希望などもお気軽にお寄せ下 さい。

オーストラリアの社会福祉制度 (5)

HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦


ホープ・コネクションが行っている電話相談にかかってくる相談の内容を見て いる と、借家に関連した相談が案外多いようです。また、私個人のまわりでも家やフラッ トの賃貸借をめぐるトラブルの話はよく耳にします。そこで今回は「家屋の賃貸借を めぐるトラブルへの対処法」について書いてみます。

ひとくちに賃貸借契約をめぐるトラブルと言ってもさまざまな問題が考えられま す。たとえば「破損した施設を家主が修繕しない」「自分のミスではなく家屋の施設 の一部が破損したのに修理代金を請求された」「家屋に損傷があった訳でもないのに 保証金(ボンド)が戻ってこない」「過去半年のあいだに2回以上家賃の値上げが あった」などなどがよくあるケースですが、まずいずれの場合にも不動産屋あるいは 家主と直接話をしてみることをおすすめします。これは言うまでもないことのような 気もしますが、こうしたトラブルの場合に当事者と直接話をしないで第三者に相談さ れる方が意外に多いのでここに改めて書いておきます。

さて、相手方と話してみたけれども埒があかない、あるいは相手方と話をする前に 自分の権利を知っておきたいといった場合にはどうすればよいのでしょうか?メルボ ルンには家屋の賃貸借契約をめぐるトラブル専門に相談業務を行っている組織があり ます。一般的に\"Tenants Union\" (テナント・ユニオン)と呼ばれるものがそれで、 地域毎に事務所が設置されています。このユニオンは正式には\"Metropolitan Tenants Advice Services\"と呼ばれ、州政府が運営資金を提供して借家人に対する各 種アドバイスの提供を行っており、ここで働くワーカー達は賃貸借契約に関する専門 知識を持っています。事務所は各地にあるため、すべての連絡先をここに挙げること はできませんが、1ヶ所代表的なユニオンの電話番号を書いておきます。

Tenants Union of Victoria Phone: (03) 9416 2577

なお、こういったユニオンに相談される場合には、賃貸契約とその推移を証明する すべての文書(賃貸契約書、過去の請求書・領収書、家主あるいは不動産屋からの手 紙、ご自分が出された手紙など)を用意されてから連絡されると相談がスムーズに進 みます。また、これに関連してですが、家の賃貸借に伴う書類はたとえそれがどんな に細かいものであったとしても、その契約が終了するまでは保管されることをおすす めしま す。そして相手方から何等かの同意を得た場合、金銭のやり取りがあった場合などは すべて文章化されるのが安全です。

運転免許の取り方 -ヴィクトリア州の場 合-

<編集部注>

当記事は、吉澤ドライビングスクールの吉澤通明氏よりご寄稿いただきました。

ヴィクトリア州に着いて生活を始めようとするときにまず困ることの最たるもの が、生活の足である車の運転をすることだと思います。

1997年9月、日本人に対してビジネス目的で一定の期間を経た後、日本に帰る ビザ(サブクラス457)を持っている人は、ヴィクトリア州の免許取得の際、学科 及び実地試験受験の義務が免除されることになりました(詳細は総領事館窓口にてお 問い合わせ下さい)。

ここではその対象にならない方々のために、運転免許取得の方法を説明しておきま しょう。日本を出発する際に国際免許証(通常有効期間は、発行日から1年)を受け ることができるのは、皆さんご存知だと思います。国際免許証は、英語では International Driving Permitといい、実は正しい翻訳をすると国際運転許可証とい うことになります(なぜ許可証と訳されないのかは不思議)。ということで国際免許 証では、免許を持っていたことの証明にならず、日本の免許をお持ちの方は、総領事 館や翻訳の資格を持った会社等から日本の免許の翻訳証明を受けなくてはなりませ ん。次にVICROADSに学科及び実地試験の予約を入れます(学科試験は、世界各国語が 用意されていますが、日本語はその対象ではありません。しかし、マンツーマンの通 訳を試験場が手配してくれます。その費用を心配する必要はありません。依頼する方 法は、受験予約時にその旨をはっきりと伝えましょう)。受験日が決まったら指定の 日までに費用を送り、予約を確定させます。受験日までしっかりと勉強しましょう。 学科は独習(ヴィクトリアトラフィックハンドブック)でも可能性がありますが・u 栫A特に実地は普段の運転とは違いますので、現地のドライビングスクールに通われ ることをお薦めします(通常1レッスン45分で$25~30)。受験当日には、身 分証明(パスポート)、居住の証明(銀行の残高証明など)が必要です。

日本の免許を持たない場合、身分証明(パスポート)、居住の証明(銀行の残高証 明など)があれば、受験できます。 VICROADSにラーナーパーミット学科試験(コン ピュータ)の予約を入れ、受験料を払い込みます。学科合格後、25歳以下は6カ月 後、25歳以上は3カ月後に、本試験・実地試験受験資格が生まれますので、余裕を 持って計画を立てる必要があります。本試験では、実地試験の後にもう一度学科試験 (コンピュータ)があり、その後ハザードパーセプションテスト(コンピュータ)が あります。

日本との比較で、初心者免許取得までの試験構成は、日本の仮免許受験時の実地試 験がなく、学科に受かるとすぐに路上ということになります。本免許の実地試験で は、路上で日本の仮免許のような運転操作が要求されています。免許取得後の初心者 期間は、違反や事故がない場合3年間、その後にフルライセンスとなります。

日本の公安委員会は、運転免許取得後3カ月以上滞在しないと日本の免許への切り 替えは認めていません。3カ月に満たない場合、路上実地試験の再受験が課せられて いるようです。

Melbourne Sexual Health Centre のご紹介

HOPE CONNECTION 顧問 精神科医 南川 節子


私たちの日本語電話相談に,これまでに何件か AIDS ( Acqired Immune Deficiency Syndrome: エイズ ) や性病など、性についてのご相談がありました。内 容は様々ですが、共通していたのは、多くの人に生じうることであるのになかなか口 に出しにくく、しかもできるだけ早い対応が望まれる切実な問題だということでし た。そこで今回は、AIDS を含めた性行為感染症に関する相談・検査・治療を匿名で しかも無料で受けられる Melbourne Sexual Health Centre のご紹介をしたいと思 います。

性行為感染症( 英語では Sexually Transmitted Diseases/Infections, STDsと略 されます ) は少々馴染みの薄い言葉かも知れません。これは,従来から「性病」と 言われていた淋病・梅毒・軟性下疳・鼠径リンパ肉芽腫に加えて、AIDS・性器ヘルペ ス感染症・非淋菌性尿道炎・B型肝炎などの、やはり性行為によって感染する細菌や ビールスなどによってひきおこされる病気を併せて言うものです。AIDSは、その致死 率の高さと治療の困難さのため注目を集めていますが、その他の治療が比較的容易な 性行為感染症でも世界中で感染者があとをたたず、日本やオーストラリアもその例外 ではありません。ハイリスクの性行為(不特定多数の相手との性行為、あるいは不特 定多数の相手との性行為を経験していると予想される相手との性行為、特にコンドー ムを使用しない場合など)を避けることが予防の手段ではありますが、人間の性と生 の複雑さを思えば、それで事足れりとするわけにはいきません。

もしもこれらの感染症にかかっているかもしれないという不安があるなら、できる だ け早くきちんと診察・検査を受け、必要ならば治療して後遺症を防ぎ、また自分自身 が感染源にならないことが責任ある態度といえます。しかし、こういったことはなか なかオープンに誰にでも相談できるものではないでしょうし、GPに相談するにも決心 がいるという方もあるでしょう。

Carltonにある Melbourne Sexual Health Centre では年齢・性別・メディケアの 有 無などに関係なく、性行為感染症に罹っている人或いはその心配がある人の相談を受 け付けています.専門医・看護婦・カウンセラー・臨床検査師・薬剤師といったス タッフをそろえ、相談・診察・検査から治療・投薬に至るまでが無料で受けられま す.相談に訪れる人のプライバシーへの配慮から,身分証明の提示を求められること はありません.メディケアカードもGPからの紹介状も不要ですので、ともかく電話で 予約を入れてください.予約なしで行っても決して断られることはありませんが、い くらか待たなければならない場合もあるそうです.

住所・電話番号は

580 Swanston Street, Carlton 3053

Phone: 9347 0244 Country Regions: 008 032017

Fax: 9347 6757

この記事についてのご質問あるいはご相談などありましたら、Hope Connection まで ご連絡下さい.

電話: 017 874 824 ( 日本語電話相談 )

郵便: c/o Migrant Resource Centre, 161 Fitzroy Street St. Kilda 3182