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vol. 21

日系コミュニティー団体のご紹介: メルボルン日本人会/家庭内暴力への対応(1): インターベンションオーダー/スインバン工科大学付属 Centre for Psychological Services

2020-01-21

ホープコネクションからのごあいさつ

今年は夏とは名ばかりの冷夏となりました。過ごしやすい日々が続く反面、例年のような40℃を超す典型的なメルボルンの夏が恋しくなります。ソルトレークシティーの冬季オリンピックが幕を閉じました。日本は残念ながら銀メダル1つ、銅メダル1つという寂しい結果となりました。今回のオリンピックではフィギアスケートで審判の不正が明るみに出て、世界を驚かせました。一番あってはならない、そして一番不似合いなこの出来事がオリンピックの現場で行われていたことはとても残念な限りです。純粋な気持ちで練習を重ねてきた選手たちにはとてもショックな出来事だったでしょう。今、世の中はとても不安定になっています。何を信じていいかわからなくなっている人も多いのではないでしょうか。殺伐とした世の中にあって、少しでも明るい気持ちで一日、一日過ごすことができれば世の中も少しずつ変わってくるかもしれませんね。

5月は恒例の“新人生活講座”を開催いたします。こちらに来られたばかりの方のために、メルボルンの生活に必要な情報を提供いたします。ぜひ、ご参加ください。また電話相談は月曜日から金曜日、10時から3時まで受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

家庭内暴力への対応(1)

- Intervention Order(インターベンションオーダー)

ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

家庭内暴力の被害者を守るための法的保護のひとつに「インターベンション・オーダー」(Intervention Order)と呼ばれるものがあります。インターベンション・オーダーは州法であるthe Crimes (Family Violence) Act 1987によって規定されており、マジョストレート・コート(Magistrate Court)がその命令を出すことが出来ます。

インターベンション・オーダーとは?

このオーダーは家庭内暴力の被害者をさらなる被害から守ることを目的として作られたものです。裁判所によってオーダーが出されると、相手方は裁判所が指定した一定の行為をすることが禁止されます。禁止行為には下に挙げた「オーダーの適用される行為」の他に、警察官の立会いなしでの被害者への接近(例えば200メートル以内)、電話などでの連絡、銃の所持などが含まれ、裁判所が適当と認めた内容を指定します。

被害者の定義

この法律が定義する「家族」とは「婚姻あるいは同棲関係にある配偶者、元配偶者、子供、両親、親族、そしてボーイフレンド、ガールフレンド」を指し、一般的な「家族」という言葉でわれわれが想像するよりもその範囲が広くなっています。ボーイフレンド、ガールフレンドは特に同居している必要はなく、同性の関係もその対象となります。また「親族」とは自分の血族以外に、過去あるいは現在の配偶者の親族を含みます。



オーダーの適用される行為

相手方が下に挙げる行為をし、今後もこれらを繰り返すおそれがあると裁判官が認めるとオーダーが出されます。

1. 暴行

2. 財産への損害

3. 1あるいは2の行為をするとの脅迫

4. 嫌がらせ、性的いたずらあるいは攻撃的態度

5. ストーカー行為(注)

(注)ストーカー行為に対するインターベンション・オーダーは家庭内暴力に対するオーダーとは異なり、加害者が「家族」である必要はありません。

オーダーの種類

インターベンション・オーダーには下記の2種類があります。

1. 仮命令 (Interim Order)

これは裁判所がオーダーを出すかどうかの最終決定を行うまでのあいだ(通常数週間以内)、被害者の一時的な保護のために出されるものです。有効期間はオーダーに対する裁判所の聴取(Hearing)が行われる日までとなり、その効力は最終決定と同じです。この仮命令は相手方に一切何も知らせることなく、相手方不在で出されることが可能です。裁判所が仮命令を出すと、相手方には警察が命令の発効を伝えてくれます。



2. 最終命令 (Final Order)

これは裁判所がオーダーの請求を出した側、出された側の双方から事情を聞いた後に出される正式な決定です。オーダーは裁判所が必要と認めた期間(例えば3ヶ月、1年など)有効で、この期間は延長することが出来ます。

オーダーの請求 (application) の方法

被害者、委任状を持つ被害者の代理人(友人、弁護士、ソーシャル・ワーカーなど)、あるいは警察がオーダーを請求することが出来ます。(警察は被害者の同意なしにオーダーを請求できますが、実際には大部分のオーダーは被害者あるいはその代理人によって請求されています。)オーダーはマジョストレート・コートで請求することが出来ます。また夜間等の裁判所の事務取扱い時間外、あるいはカントリーで物理的に裁判所に出頭するのが困難な場合などには、警察を通じて電話・ファックスでオーダーを請求できます。まずは最寄りのマジョストレート・コートか警察署に行かれて事情の説明をして、オーダーの請求をしたい旨を担当者に伝えるのが一般的な方法です。この手続き自体は難しいものではなく、弁護士など制度に詳しい人間でなくても請求をすることは出来ます。

オーダーの請求が出されると裁判所は申し立てた側(the applicantあるいはthe complainantと呼ばれます)と相手方(the defendantと呼ばれます)の双方から事情を聞いて決定を出しますが、この手続きには通常数週間かかります。そこで、裁判所がオーダーの請求を認めてなおかつ事態に緊急性があると判断したときには、請求後即時に「仮命令」(Interim Order)が出されます。前にも触れたように、この仮命令は相手方に一切何も知らせることなく、相手方不在で請求できますのでたいへん有効な防御手段です。

オーダーに違反すると?

インターベンション・オーダー自体は民事手続きですので、このオーダーが出されたからといって自動的にその相手方が刑事訴追を受けることはありません。ただし、オーダーで禁止された行為をする(オーダーに違反する)ことは刑事罰の対象となり、警察に逮捕されて起訴される場合があります。オーダーへの違反は「breach」と呼ばれ、裁判所が違反した事実を認定すると懲役、罰金などの罰を受けることになります。

ただしインターベンション・オーダーを請求した時点で、すでに相手方によって深刻な被害がもたらされていると裁判所が判断すると、インターベンション・オーダーに逮捕令状がつけられ警察によって相手方の身柄が拘束されることもあります。

今回は紙面のスペースの関係上、インターベンション・オーダーについてのみ取り上げました。次回は家庭内暴力に関連した警察への告訴、情報サイトなどについて書く予定です。なお、本稿の内容はあくまでも一般的な情報であり、専門的な法律相談の代替となるものでも、それを目的としたものでもありません。

スインバン工科大学付属 Centre for Psychological Services

スインバン工科大学内で、カウンセリングやその他の心理療法を低料金で行っているCentre for Psychological Services を、そのパンフレットの日本語概訳でご紹介します。

センター・フォー・サイコロジカル・サービス(以下センターと称します)は、スインバン大学で心理学を専攻する修士課ならびに博士課程の学生達にカウンセリングを実践できる現場を与え、またコミュニティに幅広いサイコロジカルサービスを提供するために、1990年に設立されました。センターでは以下のサービスを行っています。

低料金のカウンセリングおよび心理療法

センターでは専門家のカウンセリングを受ける経済的な余裕のない人たちにもカウンセリングを受ける機会を提供しています。カウンセリングや臨床心理学を専攻している修士課程/博士課程の学生がカウンセリングを受け持ちますが、これらの学生の多くはすでに心理学者としての登録資格を持っています。さらにこの学生達を、大学で長年研究を続けてきた経験豊かな心理療法士が監督し指導しています。

センターではカウンセリングの対象として、次のような幅広い分野を取り扱っています。

・Grief and loss (悲しみと喪失)

・人間関係の問題

・不安や鬱(うつ)

・ストレスとライフスタイルマネージメント

・家庭内の問題

・摂食障害

・性的虐待・暴力

・異文化適応問題

・不妊

・ Men\'s and Woman\'s issue

・トラウマ

・健康問題

グループサポートプログラム

センターでは、同じ様な問題を抱えた人たちがグループでサポートしあうと効果的な分野について、以下のようなグループプログラムを用意しています。

・摂食障害

・ストレスマネージメント

・禁煙

・ある種の不安障害



心理アセスメント

子どもから成人までの全ての年齢層についての心理アセスメントを低料金で行っています。心理アセスメントは、知能・性格傾向・職業適性・行動特性その他を調べることによって、学校で生じている問題や仕事に対する態度などをよりよく理解する助けとなります。

教育・専門家トレーニング

センターでは、現場で働く専門家(心理療法士・ソーシャルワーカー・看護婦・医師など)の継続的な研修のためのショートコースやセミナー、ワークショップを開催しています。

一例として

カウンセリングの基礎・上級10週間コース

不安・鬱・トラウママネージメントの1日ワークショップ

職場でのチームワークを高めるためのワークショップ

コンサルタントサービス

センターでは政府機関や企業向けのプログラムエバリュエーションやソーシャルリサーチも行っています。

料金

相談にかかる料金は一時間当たり、家庭の収入の千分の一となりますが、最低料金は$15,最高料金は

$50です。また初回のみ$10が手数料として加算されます。

例1:収入のない学生 初回$15+$10=$25 2回目より$15

例2:年収3万ドルの家庭 初回$30+$10=40 2回目より$30

心理アセスメント料金

知能検査1回の基本料金が$120



予約を取るには

(03)9214 8653 に電話して下さい。通常その後2-3日の間に予約が取れます。



受付時間

月―金曜日 午前9時より午後9時

(最終受付午後8時)

土曜日 午前9時より午後1時

(最終受付正午12時)

日・祭日休み



連絡先

Centre for Psychological Services

Swinburne University of Technology

26 Wakefield Street, Hawthorn 3122

(グレンフェリー駅より徒歩3分)

Phone:9214 8653

Fax: 9214 6857

www.swin.edu.au/sbs/psychology/cps

センターでは現在、臨床心理学修士課程に在学中の日本人カウンセラーが研修中で、日本語でのカウンセリングを受けることが可能です。

日系コミュニティー団体紹介

- メルボルン日本人会 -

当会は会員相互の親睦と向上を計り、併せて日豪文化関係の進展、親善に資することを目的として1965年7月に設立されました。会員の種類は法人会員である賛助会員と個人の立場での入会による非賛助会員の2種類で、20歳以上の日本人で会費を払えば誰でも入会できます。会は駐在員とその配偶者、永住者、留学生、ワーキングホリデーなどで構成されており、現在賛助会員95社、会員数は約750名です。

主な活動としては、文化広報部、運動部、婦人部そしてゴルフ部があり、日本人会だより、婦人部だより発行の他、日本映画の上映、ソフトボール大会及びテニス大会の開催、施設見学や講習会、チャリティ活動等年間を通じて数多く企画され、多くの会員が参加しています。また、ゴルフ部は男子部女子部共に総領事杯を含む数々のコンペを定期的に開催しています。

その他過去1年では作家深田祐介氏講演会、宇宙飛行士毛利衛氏歓迎会、畠中大使歓迎会等を開催した他、会員の緊急連絡網を作成し、総領事館より入手した安全情報を随時連絡致しました。施設としては事務局内に図書室を設け書籍、ビデオテープ、落語・音楽のCDを揃え会員に無料で貸し出しをしております。

メルボルン日本人会についての詳細は下記事務局まで遠慮なくお問い合わせ下さい。

住所:4th Floor 136 Exhibition Street,

Melbourne 3000

Tel: 9650 3666, 9650 3667

Fax: 9650 1245

e-mail: jc_jsmel@ocean.com.au

営業時間: 午前9時から午後5時 月曜日から金曜日