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vol. 2
オーストラリアの社会福祉制度(2): サービス機関へのコンタクトの取り方について
2020-01-21
ホープコネクションからのご挨拶
HOPE CONNECTION INC. 会長 古川 玲子
一際鮮やかだった紅葉も終わり、あちらこちらにたき火をする光景が見られる今日この頃です。朝晩も冷え込み、煙突からは煙がたなびき、薪の燃える匂いが空中に漂っています。日も短くなってきました。夕焼けを背に鳥が群れて家路を急ぎ、教会の鐘の音がこだまするのが聞こえます。すると、私の五感は刺激され、遥か昔の子供の頃を思い出します。ホームシックと言うよりはタイムシックにかかってしまうようです。私の出身地東京では、こうした季節を写す情景が見られなくなって既に久しくなりました。永遠に失ったものへの愛着は、時を重ねる毎に強くなっていくようです。ところで、創刊号でお知らせした「新来豪者のための生活講座」、「英会話教室」、「リラクゼーション」の各行事は、小人数ながらも駐在員、学生、ワーキン グホリデーの方々の熱心な参加者を得て、私達にとっても非常に励みになりました。 今後もテーマを変えながら、カルチャースクールとして継続していく事になりまし た。トピックに「オーストラリアン・スポーツ」「オーストラリアで入手できる材料 を使った工夫料理」「オーストラリアの政治」など多彩なものを用意しております。 詳しくは、最後のページのお知らせ欄をご覧ください。興味のあるテーマがありまし たら、お友達とお誘い合わせの上、お気軽に御参加下さい。お友達を作りたい方にも お勧めします。皆様にもリクエストがございましたら、017―874―824迄お 電話ください。なお、「英会話教室」、「リラクゼーション」は、随時(スクールホ リデー等を除きます。)募集しておりますので、お問い合わせください。
オーストラリアの社会福祉制度 (2)
ラトローブ大学ソーシャルワークコース
HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦
前回のニュース・レターではオーストラリアでの一般的な社会福祉機関、と くに Migrant Resource Centreについて簡単に紹介しましたが、それでは実際にこれらの 機関はどのようにして利用すればよいのでしょうか?今回はサービスの利用のしか た、とくに最初のコンタクトについて書いてみたいと思います。なお、詳細について はそれぞれの機関によって多少の差異があることはあらかじめお断りしておきます。 言うまでもないことですが、利用の第一歩はサービスを受けたい、あるいはサービ スを提供してくれるのではと思われる機関に電話をかけることからはじまります。最 初に電話をかけてみて、そこで実際に自分が出向いて行く必要があるのかどうかを確 認するわけです。用件が電話のみで終わればそれはそれで時間の節約になりますし、 もし事務所に来て欲しいということであればここで改めて予約を取ることになりま す。また、仮にそこが自分の必要としているサービスを提供していない場合でも、電 話の相手が心当たりの他のサービスを紹介してくれる可能性もありますから、話は大 いに活用されることをお薦めします。 ところで、電話をすると多くの場合受付がまず電話に出ます。「そこで誰を呼び出 すべきなのか?」個人的な話になりますが、ぼくは昔よくこれで失敗しました。自分 の話したいことを受付の人に話しだしてしまい、担当者に繋いでもらうまでにやたら と時間がかかり、さらに担当者が電話に出るとその人にまた同じ話を最初から繰り返 したりしたのです。これはその事務所に何を担当する誰がいるのか全然見当がつか ず、具体的な担当部署もそこにいるワーカーの名前も告げることができなかったから なのですが、こういう場合は「duty worker」あるいは「social worker」と話たいと いえば、まず大丈夫です。多くの事務所では当番制で電話に応対をするワーカーを決 めています。 さて、電話に担当ワーカーがでました。ここから本来のサービスがはじまるわけ で すが、ここでポイントをひとつ。電話をかける前に相談したい内容を何かに書き留め ておき、そのメモをもとに話をすれば事実関係の確認がしやすくなります。いつ、ど こで、何が、どのように起こったのか?電話ではほとんどの場合、ワーカーはあなた から説明される話のみをもとにして対応するわけですから、これらの基本的な事実を はっきりと間違いなく伝えることは不可欠なこととなります。これは判りきったこと のようですが、実際にクライアントからの電話を受けているとその辺りがはっきりし ないために話が前に進まないということがままありますので、ここにあえて記してお きます。 あなたが電話あるいは面接して話した内容はワーカーのファイルに記録され、以後 のあなたの面接相談のために利用されますが、この情報は倫理的、法律的に求められ る場合を除いて第三者に明かされることはありません。あなたがワーカーに伝えた情 報は相談のためだけに限定して利用されます。オーストラリアではソーシャル・ワー カーに対しても「職務上知り得た情報の秘守義務」はたいへん厳しく求められてお り、その厳しさは弁護士、医療関係者などへのそれとなんら変るところはありません。もし、仮にあなたの情報が正当な根拠もなく第三者に漏れた場合は、ソーシャル ・ワーカーの団体であるAustralian Association of Social Workers (AASW)に審判 を申し立てることが出来ますし、またその他の法的手段に訴えることも可能です。
メルボルン・休日の過ごし-基礎編その 2-
前回ご紹介した観光スポット、皆さん行かれてみましたか?何か新しい発見は あっ たでしょうか。では今回はさらに詳しいインフォメーションの収集について少しお話 ししましょう。シティのスワンストン通りとコリンズ通りの角に、 Melbourn Town Hall(市庁舎)があるのをご存知ですか。この中に、2つのインフォ メーションセンターが入っています。 まず1つ目は、リトル・コリンズ通り側にあるビクトリア・ビジターインフォメー ションセンター。ここにはビクトリア州各地のインフォメーションがそろっていま す。郊外へドライブ、または小旅行へ出かけるときなどに必要な情報を入手できるの です。現在はホテルの予約等は行っていないそうですが、近いうちにここで各種手配 等もできるようになるそうです。 もう1つはシティ・エクスペリエンスセンター。こちらはメルボルン市内で行われ るイベント等の情報を提供してくれるところ。中でもユニークなのが、メルボルン・ グリーターズといわれるシステムで、各国語を話すボランティア達が無料で2~4時 間、観光客に市内を紹介するというもの。近々日本からのお客様の予定のある方、ご 利用されてみてはいかがですか(要予約)。皆さんもご存知の通り、ビクトリア州で は最近観光に力を入れています。このような公共の施設を上手に利用して、休日をよ りいっそう充実させましょう! ビクトリア・ビジターインフォメーションセンター(Vivtoria Visitor Information Center) 月~金曜 午前8時30分~午後5時30分 土・日曜 午前9時~午後5時 お問い合わせ 9658ー9955 シティ・エクスペリエンスセンター(The City Experience Center) 月~金曜 午前9時~午後7時 土・日曜 午前9時~午後5時 お問い合わせ 9658ー9526(日本語)
心の健康保険
あるセミナーで、「家族や友人はメンタルヘルス・インシュアランス(心の健康保 険とでも訳しておこう)」という言葉を聞きなるほどと思った。何か悩みがあれば、 まず家族や友人にそれを話す。それでいくらか気持ちが落ち着き意欲も取り戻せる。 多くの悩みはこんなふうに解決、解消されていくのだろうか。だが、家族や友人にも 話せないようなことだとしたら、あるいは話せる相手がいない場合はどうなるのだろ う。 ここに暮らす日本人の多くは駐在などによる一時滞在者が半分以上を占める。移民 にしても比較的新しい人たちが多い。高校生などの留学生も増えているようだ。この 人達は悩みを打ち明けられる友人を短期間のうちに作れるだろうか。あるいは自分が 他人の悩みを聞ける状態にあるのだろうか。他に知れ渡ることを警戒し外に出さない ようにするケースはないのだろうか。一人で悩んでしまうと外国暮らしもつらくなっ てくる。 滞在20年余になるある友人は言った。私これだけの人間なんです、と自分の弱い ところをさらけ出してしまったらすごく楽になった、と。裸の自分を見せながら、人 に依存しないその人を私はまぶしく眺めてしまう。そう、こういうふうに人と人が繋 がったらあなたはあなたらしく、私は私らしくいられる心地よい空間ができていくん だろうな、何て思う。思うだけでなく、それを実行していきたい。こんな事を考えて いるとホープコネクションがこの日本人コミュニティーの中でやっていく仕事の意義 や大きさを思わないではいられない。専門家の助けを借りながら、また広くオースト ラリアの社会にもネットを張って、「心の健康保険」の役割を果たせるようなボラン ティア組織を根付かせていきたい。