ニュースレター 7号

ホープコネクションからの挨拶

HOPE CONNECTION INC. 会長 デービス洋子

 昨年の総会にて古川玲子さんから会長の座をバトンタッチして早くも一年が過 ぎました。この一年間を振り返りますと、カルチャースクールや電話相談による草の 根の福祉活動も充実してきました。また念願でした日本語が使えるコンピューター、 そしてファックス機もこちらに進出しておられる日本のある電気機器メーカーからの ご厚意で寄贈していただき、仕事もやりやすくなりました。ホープコネクションの活 動は地味な仕事ですが、日本人社会の人々へのサポート役としてお役に立てるよう努 力しています。しかし、物資や支援金などで協力して下さっている個人・団体・企業 の皆様のサポート無くしては活動は順調に進みません。ここに改めて皆様にお礼を申 し上げます。
 さて今年度も会長職を続けさせていただくことになりました。引き続きメンバーの 皆様と力を合わせて、カルチャースクール等計画していきたいと思います。
 11月に予定のカルチャースクール第7回目は、借家に絡む問題についてです。弁 護士のTim McDonald氏に日本語でお話しをしていただきます。家を借りるとき、借り ている最中そして返すとき、問題が生じた経験がありませんか。またこれから借りよ うと思っている方にとっても借家についての基礎知識として是非参加してみて下さ い。詳細はこのニュースレターの最後のページのホープコネクション・カルチャース クールご案内をご覧ください。

真剣!カルチャースクール
「賢い納税者のためのセミナー」

 Deloitte Touche Tohmatsuの佐川義人氏にお願いした今回の講座は、タックス リターンの時期とも重なり、堅いテーマにも関わらず参加者20数名を数え、予定の 時間をはるかに越えて成功のうちに終了しました。講師からは分厚い資料を配布さ れ、OHPも利用された本格的なセミナーで、オーストラリア税制について(税制改 正、納税と申告など)、日本の税制との違い(FBT、過少資本制度、インピュテー ション制度など)、個人所得税の申告(深刻方法、TAX PAC、控除など)について聴 講しました。参加者も真剣で。質問が次々に出たため、最後に質疑応答の時間を設け るということで、レクチャーを先に進めていくことにしたほどです。休憩を挟んで質 疑応答の時間となり、税金控除について、経理相談の受付機関、在豪永住者の日本の 資産、税金など話はなかなか尽きませんでした。佐川講師の入念な下準備と分かりや すいお話は、参加者の質問意欲をさらにかき立てたようです。

日本の社会福祉制度 介護保険(2)

HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

 今回は介護保険制度についての2回目です。前回書いた保険制度の大まかな枠 組みをもとに、実際に保険を利用するにはどうしたらよいのか、また保険給付の過程 などについて述べていきます。
 介護保険制度が実施されると、被保険者の居住する各市町村が「加齢に伴い」介護 が必要となったと認定したときに、在宅または施設での介護サービスが受けられるよ うになります。
 この介護が必要な状態についてより詳しく書くと、「要支援状態」と呼ばれる「虚 弱な状態であって、要介護状態とならないために適切な介護サービスを受けることが 必要な状態」と、要介護状態の2つに分類されます。そして要介護状態は介護を必要 とする度合に応じてさらに5段階に分かれています。つまり要支援・要介護を合わせ ると、何らかのかたちで介護サービスの給付を受ける状態は6つに分けられることに なります。
 各被保険者が要支援あるいは要介護状態にあると思われるときは、まず居住してい る市町村に「認定申請」を行います。申請があると「介護認定調査員」による面接が 各被保険者に対して行われ、この面接の記録に「かかりつけ医の意見書」、「調査員 が記す特記事項」などを添えたものが各市町村の「介護認定審査会」に送られます。 「ケア・サービス調査票」と呼ばれるこの面接記録には、現在のところマーク・シー ト形式が採用されることになっており、したがって認定審査会は第一次審査をコン ピューターによって行うことになりそうです。認定審査会は全国共通の認定基準に基 づいて、それぞれのケースについて要介護状態にあるかどうか、もしあるのならばそ れが前述の6段階のうちのどれにあたるのかを判定します。ここで要介護状態にある と判定されれば、それぞれの段階に応じて各種介護サービスの給付が始まり、要介護 状態にはないとされた時は給付は受けられません。なお、認定審査会の判定結果に不 服があるときには、各都道府県が設置する「介護保険審査会」に不服申立ができま す。
 厚生省の試算によれば、65歳以上の被保険者のうち約13%、80〜84歳のう ち約25%、そして85歳以上のうちの約50%が何らかの介護サービス給付をうけ るとされています。
 それでは要介護状態にあると認定された後、具体的にどのようなサービスをどのく らいの頻度で利用できるようになるのでしょうか?前回のこの欄で予想されるサービ スの項目を羅列してみましたが、これらが現実にどうようなサービス内容になるのか は明らかになっていません。介護保険制度のなかでもこの実際のサービス給付の段階 については未だに不明確な点が多くあり、筆者が調べた限りでは現在のところ提供さ れる介護サービスの具体像とその組み合わせは明らかになっていないようです。
 ただ、現在「介護支援専門員」と呼ばれる新しい国家資格ができており、この資格 をもつ人が要介護認定を受けた人に対して具体的なサービス計画(ケア・プラン)を 作り、このプランがきちんと実施されていくよう管理(ケア・マネージメント)を行 うとされています。専門員は・。年の9月から全国各地で資格試験が始まっており、 ケア・マネージメントのほかにも介護認定申請の代行や申請後の認定のための面接も 行えることになっていることから、2000年の制度運用開始のときには約4000 0人が必要になると見込まれています。
 次回は海外に住んでいらっしゃる方が日本に帰国した場合の保険申請について書い てみたいと思います。
 なお、介護保険制度は現在具体的なシステムの検討段階にあり、ここに書いた内容 はあくまでもこの原稿執筆時での情報をもとにしていることを書き添えておきます。

女性への暴力、セクシュアル・アサルト(性暴力) の相談

 家庭内暴力、性暴力などは最も表面に出づらい問題です。長いことプライベー トな問題として扱われてきたこと、被害者が女性や子どもの場合が多く、「声」を出 しにくくもあり、また出しても無視されがちであったことなどにもよるのでしょう。 さらに「女は我慢するものだ」といった古い道徳・価値観に女性自身も縛られ、むし ろ自分を責めてしまい、結果的に「沈黙」してしまうケースもまだまだ多いようで す。相手の意思を無視しての性行為の強要は夫婦間においてもレイプとみなされるこ とはオーストラリア社会でも常識になっています。しかし現実には女性が「泣き寝入 り」するケースが多数と思われます。長期に渡って暴力を受けると自信を無くし、生 きる力を失うほどの人格の変化も極端な場合では起こってきます。これらの問題が個 人的なものに還元できないほど社会性を帯びていることは、メディア等を通してもう かがい知ることができます。今回この問題をご一緒に考え、メルボルンで利用できる 公的サービス機関についてご紹介しましょう。
 暴力が死亡事件や刑事事件に発展したケースもよく耳にします。日本人の女性がそ の被害に遭ったこともあります。ことにまだ言葉も不自由、事情もよく分からない国 で、一番信頼していたはずの夫や恋人から暴力を受けるとなると、せっかく夢と希望 を抱いてきたオーストラリア生活も悪夢に変わってしまいます。現地での友人、知り 合いも限られていますから、一層孤立感や絶望感に駆り立てられてしまうことにもな りかねません。問題が深刻にならないうちに外に向かって何らかの「声」を上げるこ とです。「声」を上げたことに対し周りの人達はまずその勇気を称えましょう。3年 前の沖縄の少女レイプ事件を思い出してください。12歳の少女の勇気が沈黙してい た女性たちを励ましたのです。

 オーストラリアには、暴力や性被害にあった女性たちにさまざまなサービスとサ ポートを提供する公的機関が整っています。英語を母国語としない人たちにもサービ スが行き届くよう他国語を話せるスタッフもしばしば配置されています。残念ながら こうした社会福祉の面で日本語はまだ浸透していないようです。それでも、電話での 通訳サービスが行われていますし、相談機関に依頼すれば通常は無料の通訳サービス も受けられるようになっています。これからご紹介するCASA (Centre Against Sexual Assault )ハウスもスタッフが対応できない言語の場合は、通訳を手配するそ うです。ここは女性に対する暴力、ことに性暴力に対して24時間体制で、カウンセ リング・医療・法的助言を含む情報提供を行っています。相談者の権利を尊重する立 場で話しを聞き、信頼し、個人の秘密やプライバシーを守ることを基本に置いていま すので、安心して相談できます。さらに、Royal Women's Hospital と常時連携がと られていますので、場合によっては医療面でのサービスも受けられる体制になってい ます。また、被害者同士が似た経験を通して互いに気持ちを分かち合い、サポートし あえるようなグループを設けたり、被害者の関係者(パートナー、家族、友人)など に向けての教育や助言も行っています。これはコミュニティー体が関わり合うことで 女性への暴力を無くしていくというCASAハウスの根本的な考え方からきたものでしょ う。
当ハウスの連絡先は、次のとおりです。
住所:270 Cardigan Street Carlton
電話:9344-2210(昼間)9349-1766(夜間)
1800-806-292(フリーコール)

 それぞれのサバーブにも類似のサービスがありますので、身近な相談機関として利 用できます。地元のCity Council から年1回各戸に配られるコミュニティー・ディ レクトリーのそうした情報が載っています。また、家庭内暴力一般及び近親相姦の問 題は下記のところで相談を受け付けてくれます。

Domestic Violence and Incest Resource Centre
住所:139 Sydney Road Brunswick
電話:9387-9155(昼間) 
1800-015-188(フリーコール)

 プライバシーを守り、日本語で気楽に話を聞いてもらえる窓口として、私共のホー プ・コネクション日本語電話相談も併せてご利用ください。月曜日から金曜日午前10 時より午後3時まで 017-874-824 にて受け付けております。