ニュースレター 6号

ホープコネクションからの挨拶

HOPE CONNECTION INC. 会長 デービス 洋子

 今年も本格的な冬到来、ぐっと冷え込んだ夜の翌朝は霜柱が観測されるほどで す。 各スキーリゾートでは既に雪が積もり、雪質も良好ということで、スキーヤーはワク ワクといったところかと思います。メルボルンから日帰りも可能なMt.Bullerでは学 校の冬休み客に備えて着々と受け入れ準備態勢が整えられているようです。
 所変わってフランスではサッカーワールドカップで沸いています。普段はサッカー に無縁という人達も、ワールドカップ、さらには自分の国が対戦となると別問題のよ うです。日本国内では対アルゼンチン戦で視聴率は60%以上になったとか。またテ レビ観戦では満足できずフランス入りした日本人観戦客も大勢いました。チケットの 問題もでてきているようですが、それだけではなく、やはり言葉・習慣の違いから戸 惑いもあったのではないでしょうか。せっかくの楽しいはずの滞在が、ささいなこと で悩まなければいけない羽目になるのは残念です。オーストラリアにいらっしゃる皆 様の中に、時には身近に相談できる人がいらっしゃらない場合もあるかと思います。 また情報を入手したいが、どこから手を付けたらいいか迷われることもあるかと思い ます。そんな時にはホープコネクション電話相談がお役に立つことと思います、ホー プコネクションは今年に入りまして、「オーストラリア政治入門」「新人講座」と題 してカルチャースクールを行ってきました。皆様のオーストラリアでの生活が少しで も快適に出来る足がかりになっていると信じています。今後も皆様のニーズに合わせ た課題を取りあげながら活動を続けていきたいと思います。
 次回カルチャースクールは、税申告の時期でもありますので、「税金制度につい て」をゲストスピーカーを招いてお話ししていただこうと計画しています。多くの 方々の参加をお待ちしています。

盛況!今年の新人講座

 昨年大変ご好評をいただいたホープコネクションの新人講座、今年は去る5月16 日、シティ中心部のCollins Street沿いにある豪日協会のオフィスをお借りして開催 いたしました。当日は予約を大幅に上回る40名を越える方々にお集まりいただき、 大変盛況な講座となりました。今回は一層内容を充実させ、公共交通機関の利用法に 始まり、運転、通訳、社会福祉・医療サービス、教育、買物、住居、銀行口座、日本 語メディア等々、制度的なものから日常的な事柄に至るまで多岐にわたるトピックを カバーしました。残念ながら時間の制約もあり、すべての項目を詳細に掘り下げると いう訳には参りませんでしたが、参加者の方々からの質問も数多くあり、今後の活動 への大きな励みとなりました。特に皆様のご関心をいただいた項目につきましては、 後日別個の講座を設けるなどして詳しく取りあげていきたいと考えております。ご希 望、感想、どしどしお寄せ下さい。
 次回は8月、税金制度について行います。詳しくは最終頁の案内をご覧下さい。

日本の社会福祉制度 (1)

HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

  前回までこの欄でオーストラリアの社会福祉制度について書いてきました が、今回 から「日本の社会福祉制度」と題して日本における福祉制度の現状を紹介していきま す。第一回目は昨年できた介護保険制度についての解説です。
 1997年12月に臨時国会で介護保険法案が成立しました。「介護保険」につい ては日本ではここ数年メディアでも頻繁に取り上げられており、みなさんその名前と 大まかな内容はご存じではないでしょうか。
 介護保険は40歳以上の方を被保険者としており、毎月一定額の保険料を支払うこ とにより、被保険者が「加齢に伴い」介護が必要となった時に介護サービスの提供を 受けることが出来るというものです。ここで主なポイントとなるのは以下の二点だと 考えられます。まず第一は、保険給付の対象となるのは加齢、つまり年をとったこと により生じた「要介護状態」であり、それ以外の障害・疾病の介護については対象外 であること。そして第二は保険の給付は在宅および施設でのサービスの提供というか たちで行われ、現金が支払われるわけではないということです。
 ここでいう「要介護状態」とは「入浴、排泄、食事などの日常生活動作について介 護を必要とする状態」であると定義され、その度合によって6段階に分類されます。 この要介護状態の認定は、各市町村によって行われ、被保険者が必要とする介護の度 合に応じて、在宅または施設での介護サービスに対する保険の支給額が決定されると されています。
 具体的なサービス内容としては、在宅の場合は介護・家事の援助をするホーム・ヘ ルパーの派遣、訪問入浴、訪問介護、訪問あるいは通所によるリハビリ、かかりつけ 医による医学的管理、老人介護施設でのデイ・サービス(昼間のあいだ施設に通って 介護を受けたり・レクリエーションなどに参加すること)、介護施設への短期の入所 などが挙げられます。また施設の場合は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養 型医療施設といった施設への入所となっています。
 気になる保険料ですが、所得額に応じて五段階に分かれるとされており、先日厚生 省が発表した試算によると、制度の開始時には40歳以上のサラリーマンの夫婦で月 額で1700円程度、65歳以上の夫婦で月額5000円程度の負担になるとされて います。(これは制度の開始時における保険料であって、運用開始後には保険料は 徐々に引き上げられていきます。)なお、40歳から64歳までの方の場合、保険料 は医療保険料と併せて支払うことになり、65歳以上の方の場合は原則として年金・ 保険からの天引きとなります。64歳以下の方は保険料自体が若干安く設定されてい るのと、加入されている健康保険の種類によって事業者あるいは国庫が保険料の半分 を負担するため、65歳以上の方に比べると保険料の負担は低くなっています。そし て介護サー ビスを受ける際には、利用者負担としてサービス提供にかかる費用の一割を支払うこ とになります。
 政府はこの介護保険制度を2000年4月からスタートさせると発表しています。 それでは、実際にこの制度が始まった場合にはどのようにすれば介護サービスを利用 出来るのでしょうか?そして、海外に住んでいらっしゃる方が日本に帰国された場合 にはこの保険をどのようなかたちで利用できるのでしょうか?次回はこれらの点につ いて書いてみたいと思います。
 なお、介護保険制度は現在具体的なシステムの検討段階にあり、ここに書いた内容 はあくまでもこの原稿執筆時での情報をもとにしていることを書き添えておきます。

ヴィクトリア州運転事情  もし事故に遭ってし まったら…

<編集部注>
当記事は、吉澤ドライビングスクールの吉澤通明氏よりご寄稿いただき ました。

 オーストラリアでの生活をいい思い出として日本に持ち帰るためには、色々な意味 でトラブルは避けたいと思います。特に交通事故はその最たるものです。一般の市民 が悪意なく犯罪者になるのに、交通事故ほど簡単なものはないと思います。
 日本では交通事故の際は、どんな小さな事故でも警察に届け出る義務があります が、ヴィクトリア州(オーストラリア)では、怪我人がいる場合や相手が現場にいな い場合以外は警察に届け出る義務がありません。通常双方での示談や、保険会社同士 が話し合いをして処理されているようです。当事者同士の示談は、日本人の場合、言 葉など意思の疎通上極めて不利なので、必ず保険をかけて、保険会社を通じて交渉す るのがベストでしょう。
 万が一事故の被害者になった時は、車を止め(後続の渋滞など気にせず、相手を逃 げられない状態にしておく、そうしないと逃げられる。逃げられた場合、必ずナン バープレートを控えること。事故の際に止まらないことは道路交通法で厳罰に処され ます)、相手の住所、電話番号、免許証番号、車のナンバー、車の持ち主、保険会社 の名前等を控えなくてはなりません。勿論こちらの情報も相手に伝えます。嘘をつか れないように確認できるようにしておきましょう。
 保険会社に届け出る場合、日本の警察に届け出るような事故供述などが詳しく書き 込まれなくてはなりません。この場合、ヴィクトリア州道路交通法の正しい理解や英 語で正しく表現しないと立場が入れ替わってしまいます。ただ保険会社の人に聞いた 話では、自動車保険に関してはお互いのお客さんの修理代を持つことが約束できてい るそうで、事故を引き起こした責任などの比重はこの段階では問題にされていないよ うです。保険会社は、お客さんに対するペナルティーとして保険金額を上げます。
 運悪く相手が保険に入っていない場合、通常自分の保険会社が損害賠償請求などを 代行してくれるはずです。自分が保険に入っていない場合、弁護士を立てるなりして 対応するか、すべての書類を自分自身で作成しなければならなくなります。一般社会 通念として、保険に入っていないことは考えられないというのが常識のようです。
 さらに悪いケースは、相手が無免許の場合、本人の住所を確認することもできませ ん。その場合、とにかく身分証明になるものを見せてもらいましょう。もっという と、その上に盗難車となると、登録ナンバーまでもが当てにならず、もう捕まえる根 拠は皆無になります。その場合、車の持ち主が責任を負わされることになるようです ので、盗まれないように気をつけて下さい。
 歩行者として気をつけなければならないのは、日本のように歩行者最優先ではない ということです。車社会では、車の動きを必要以上に制限しないことが前提になって いるようで、道路上を走る直進車が、歩行者に譲る義務は基本的にありません。右左 折車に対しては歩行者優先規定がはっきりとしていますが、横断歩道、学童横断路の オペレーション中(Children Crossingと書かれたオレンジの旗が出ているとき)な ど法律で定められたところ以外、直進車が歩行者に譲る義務はありません。
 事故はしない、巻き込まれないことが一番大切です。お気をつけて…

オーストラリアでの出産

西村 文子(助産婦) 南川 節子(精神科医)

今回はオーストラリアで出産することを考えていらっしゃる方のための話題です。 妊 娠・出産には不安なことがいろいろとつきまとうものです。外国での出産となればな おのこと。的確な情報を得て、少しでも不安を減らしていただきたいものです。  出産についてよくあるお尋ねは、「出産するのに、どこの病院がいいでしょう。」 ということですが、これはなかなかお答えしにくい質問です。というのは、それぞれ の方がどんなお産を望んでいるか(自然な分娩?無痛分娩?とにかく安全な分娩?・ ・・)、どこに住んでいるか、費用はどの程度を予定しているかなどによってお勧め すべき施設が変わってくるからです。というより、どこかを「勧める」ということ自 体が適当ではないのかもしれません。あくまで、出産する方とその家族の「どんな出 産をしたいのか」という価値基準にあった選択こそが大事なのだともいえるからで す。そこで今回は、自分にあった施設を選ぶための基礎知識として、当地の出産施設 について一般的なお話しをしたいと思います。
 妊娠かなと思った時は、GPの診察を受けて妊娠の有無を確認してもらいます。ある いは薬局で市販している妊娠判定薬を使って自分で検査をすることもできます。GP で妊娠であることが確認されたら、どこで出産するのかを決めてGPの紹介状を持っ て受診し、それ以後の定期検診から出産、出産後の母子検診までをその施設で受ける ことになります。その際の選択肢と、それぞれの特徴を大まかにご説明しましょう。

1)病院の産科:オーストラリアの病院は公立(public hospital) と私立(private hospital) に別れています。Medicare の適用で公立病院で出産する場合、担当医師 を指定することはできませんし、病院が提供する形での出産になります。費用の個人 負担はなく、通常の入院期間は5日となっています。私立病院では医師を自分で指定 でき、入院期間も希望に応じてくれますが、費用は大体$4,000-5,000以上ほどかか ります。病室などの施設やその他のサーヴィスは、公立に比べると充実しています。 Medicare の適用外の方が、公立病院を Private 患者として利用する場合には、医師 を指定することができ、費用も私立病院に比べれば割安となるようです。施設やサー ヴィス内容は各病院によりかなり異なります。できればいくつかを見学してから選ん でみてはどうでしょうか。
2)Birthcentre:いくつかの公立病院に付属する形で設置されている Birthcentre では、助産婦(Midwife) が主体となって正常妊娠・分娩を扱い、私立病院に劣らな い整った施設・設備とゆったりとした家庭的な雰囲気の中での医療介入の少ない自然 な分娩が行われています。入院期間は短く、筆者の一人西村が Monash Birthcentre で出産したときには、出産後24時間で退院でした。このように早い時期での退院に対 応するために、地域の Royal District Nurse が最初の一週間に3回、自宅を訪問し ます。母親の血圧測定・乳房や傷の具合の観察、出生児の体重測定や反射の検査など を行い、授乳・育児・産後の生活指導をしてくれます。また、自宅の最寄りの Maternity Child Health Centre の助産婦の自宅訪問も受けられます。メルボルンで は、Royal Wemen's Hospital, Monash Medical Centre, Mercy Hospital for Women 等にあり、Medicare が使えますし、その対象外の方でも費用負担は数100ドル程度の ようです。また、緊急事態が起きた場合や、異常妊娠であることが分かったときなど すぐに病院からぁw)дサポートが受けられるという利点もあります≫・・#010; 3)産科専門のGPクリニック/産科専門医:Yellow Pages のMedical Practitioner の項をみると、 Obstetrics/Gynecology、GP Obstetricsといった医師が見つかりま す。あるいは、妊娠を確認したGPに紹介してもらうこともできます。これらは、産 科・婦人科専門医とGPのなかでも産科を扱う医師で、妊娠から出産、産後まで一貫 して一人の医師にみてもらうことができる利点があります。その一方で、自分の望む 出産を提供してくれる医師を慎重に選ぶことが大切になります。出産はその医師の指 定する病院で行うのが一般的です。
4)自宅分娩:ごく少数ではありますが、自宅での分娩を扱っている登録助産婦もい ます。Yellow Pages の Childbirth Servives の項をみると、数件の Midwife への 連絡先がわかります。電話や書面で連絡を取ってみて下さい。費用は大体$1000 程 度でMedicare の適用はありません。正常妊娠・分娩のみを扱います。
 以上のようなことを参考にしていただいて、知り合いの経験談などの情報もしっか り集めた上で、いくつかの施設を見学してみられることをお勧めしたいと思います。 その際に、自分がどんな出産を望むのかをはっきりさせておくことが大切なのは言う までもありません。また、担当の医師や助産婦としっかり意見の交換をする事も大切 で、西村の経験でも、定期検診の時にただ医者の言うことを聞いていると、どうして いろいろと質問しないのかと不思議がられました。言葉の問題でうまくコミュニケー ションがとれないと思ったら、医師や助産婦に通訳を付けてもらうように頼んで下さ い。多くの場合、無料で通訳サーヴィスがうけられます。どこの施設でも母親学級の ようなものを開いていますので、積極的に参加しましょう。実用的な知識や出産にま つわる英語の語彙が得られるだけでなく、日本との違いに気付くことができるかもし れません。文化の違いや言葉の問題にめげず、積極的に自分にとっての「理想の出 産」を追求しましょう・・・というのは少し大袈裟でしょうか?