ニュースレター 3号

ホープコネクション前会長挨拶

HOPE CONNECTION INC. 前会長・現副会長 古川 玲子

三寒四温を繰り返し、本格的な春を感じる今日この頃です。メルボルンの 春の訪れ はとてもカラフルです。梅、桃、桜と8月末頃からにぎやかに咲き競ってきれいです が、ワトルも元気に咲いていますので花粉症の人には、悩みの季節となります。鼻水 が出る、目が痒い、目が痛い、涙目、頭が重い等、クリスマスまでお花見どころでは ない人も結構いらっしゃることでしょう。私もご多分に漏れず悩める人でしたが、今 年は朝晩洗面の時、水の中で目を開けてよく洗うようにしたところ、非常に楽になり ました。去年までは、目が痛く眩しいので、目を開けているのも苦痛でした。また、 知人に教わってプロポリスを飲んでいるせいかもしれません。桜が終わるといよいよ サマータイムに突入します。一気に夏へ向かってゴーサインが出る月でもあります。  さて、去る9月18日(木)ホープコネクション設立以来初めての年次総会が開かれ ました。活動報告、決算報告、新役員選出、次年度予算の確保、今後の具体的活動の 推進など討議されました。そして、新会長に、デービス洋子が就任しました事を、ご 報告いたします。  また、庭野平和財団より助成金提供が決定される等、活動資金に頭を悩ませていた 私どもにとっては嬉しいニュースもありました。当財団への感謝をここに表わすとと もに、ますます充実した活動になるよう会員一同力を合わせて参りたいと存じます。 これまで手探りでボランティア活動を進めてまいりましたが、お蔭様で私どもの活動 も少しずつ軌道に乗ってまいりました。活動も、電話相談を皮切りに、英会話教室、 新来豪者のための生活講座、リラクゼーション教室、カルチャースクールと催し、 ニュースレターもこれで3号目になりました。電話相談では、近頃、日本からも相談 が来るようになりました。 "Keep Going" 続けることが大事とボランティア一同あらためて確認いたしました。 この1年間暖かいご支援をいただいた皆様に心から感謝するとともに、今後の活動 も、お見守りいただきたくお願い申し上げます。

カルチャースクール・スポーツ講座開かれる!

去る9月19日(金)に第一回ホープコネクション・カルチャースクールのスポー ツ講座がマイグラント・リソースセンターの一室をお借りして行われました。  講師としてボランティアをかって出て下さったのは、ゴルフ・セミプロのTさん、 オーストラリアン・フットボールはセントキルダチームの大ファンのOさん、そして クリケットはMさんの皆様方。今回は特に「初心者のための講座」ということで、初 心者ならではの誰にも聞けなかった素朴な疑問に講師の皆様が日本語でわかりやすく ご解答下さり非常にためになりました。また、Oさんは今回のこの企画のために特別 に「フットボールの見どころビデオ」を御制作下さり、フットボールの試合の様子な どが初心者にも楽しめるように収められているこのビデオは大好評。熱心な質問も飛 び交い、予定の2時間があっと言う間に終了しました。  参加者の間からは是非第二弾を、という声が挙がりましたので、来年半ば頃にまた 同じ様なテーマで講座を実現させたいと思っています。  講師の皆様、どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いします。 *このカルチャースクールは、オーストラリアでの生活を便利で楽しいものにする、 生活のヒントの講座です。あなたの趣味・特技を生かして、お互いに情報交換しませ んか?また、「生徒」としての参加も勿論大歓迎です。 *次回は11月21日(金)、お料理講座を予定しております。参加者、またはボラ ンティアとして講師をして下さる方を募集中。詳しくは、4ページをご覧下さい。 *「こんな講座を日本語で聞きたい」「私のこの知識を皆さんにおわけしたい」 等々、皆様からのアイディアを募集中です。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

オーストラリアの社会福祉制度 (3)

ラトローブ大学ソーシャルワークコース

HOPE CONNECTION 顧問 ソーシャルワーカー 水藤 昌彦

現在日本では高齢化社会とそれに関連するさまざまな問題が取り沙汰さ れ、この話 題がメディアを賑わせています。ここオーストラリアでも高齢化社会の問題、とくに 今後の老人福祉の在り方については大きな関心をよんでいます。つい先日も老人ホー ム入居者に対する保証金制度の導入の話題が新聞に大きく取り上げられたことをご記 憶の方も多いのではないでしょうか?そこで本稿では今回と次回の二回にわたって老 人福祉制度について書いてみたいと思います。  オーストラリアの老人福祉制度を考える場合、日本との大きな違いはその介護のや り方と施設にあらわれています。日本ではある程度年を取って身体に障害が出てきた り、ひとりの生活が難しくなってきたりすると老人ホームに入るという選択が割と一 般的です。家族がその老人の介護をする場合ももちろんありますが、老人ホームへ入 居することも同じ様によくあるわけです。一方、ここでは出来るだけ老人を地域社会 の中で介護しようという動きがあり、このため老人ホーム(nursing home)に暮らす老 人の数は日本に比べるとかなり少ないといえます。オーストラリアでは老人とは65 歳以上の人を指しますが、ビクトリア州の全老人人口のうち老人ホームで介護を受け ているのは約1%だといわれています。これは日本で老人ホームに入っている人の率 に比べるとかなり低いといえます。というのは、こちらで老人ホームでの介護を受け られるのは、老人性痴呆、脳梗塞、心臓発作などによって心身に重度の障害を持ち、 食事、身の回りの世話など全てにわたって介護が必要なひとに限られているからで す。つまり残る99%の老人は仮に障害があっても老人ホームには入らず、何・u桙 轤ゥのかたちで介護を受けつつ地域社会の中で暮らしていることになります。  それでは老人ホーム以外での介護にはどのようなものがあるのでしょうか?まず自 宅で暮らす老人には食事の宅配サービス(Meals on Wheels)があります。これは地方 自治体によってサービスされており、食事を自宅まで配達してくれます。またこれと 似たものに、自宅へのケア・ワーカー(日本でいうヘルパー)の派遣があります。派 遣されたケア・ワーカーがその老人の障害の度合に応じて、買い物、掃除、入浴の介 助といった身の回りの世話をするものです。これら自宅に住む老人へのサービスは日 本でいう在宅介護の支援サービスに似ているといえますが、大きな違いはこちらでは そのサービスを受ける老人の多くが独居であるか、あるいは配偶者との二人暮らしで あるという点です。これは家族観の違いとしてたいへんよく知られていることです が、日本に比べるとオーストラリアでは結婚後の両親との同居があまり一般的ではな く、このため介護の内容も老人を介護する家族を支援するものよりも、独居の老人自 身を対象としたものが多いようです。  そして、これら自宅に住む老人への介護サービスとは別に、ケア付き住宅がありま す。これはいわば自宅で生活するのと老人ホームに入るというふたつの選択肢の中間 に位置するもので、老人向けに作られた施設に入居しながらも個人の独立した生活を できるだけ保つことを目指して設置されています。施設によって違いはありますが、 そこでは各人が個室を持ち、介助が必要なことについてはそこにいるケア・ワーカー がそれを行うという形が一般的です。どの程度の介助を受けるかはそのひと個人の必 要性によって変ってくることになります。そして、その介護の多様性に応じて施設に も様々なものがあります。  それではこれらの施設に入りたい、あるいはサービスを受けたいという場合にはど のようにすればよいのでしょうか?次回はサービス利用の実際とその費用負担につい て書いてみたいと思います。

電話相談活動報告

早いものでホープ・コネクションが電話相談を開始して1年以上が経ちました。開 設した当初の昨年8月には1ヶ月のあいだに電話が1本しかかかってこず、この先ど うなるのかと相談員一同心配しましたが、最近は件数もわずかずつではありますが増 えてきています。ホープ・コネクションの活動の大きな柱であるこの電話相談活動に ついての1年のまとめとして、以下に現在までの相談件数の推移と大まかな相談内容 の内訳を記します。  相談を開始した1996年(8月〜12月)には合計14件の相談がありました。 そして今年97年は1月から10月までのあいだに63件の電話がかかってきていま す。  また相談の内容ですが、生活情報に関する問い合わせが37件、悩みごとに関する 相談(ピアー・カウンセリング)が37件、その他3件となっています(96年8 月〜97年10月)。

海外赴任者の不安神経症とメンタルケア

<編集部注>
この欄は「海外医療」九月号特集記事「海外赴任と成人病」の中の「ノイローゼ(神 経症)とうつ病」(津久井要医師)の一部を、発行元の許可の元に抜粋、編集しまし た。 <不安神経症とは?>
 不安神経症は最もしばしば見られる神経症で、成人人口の2〜3%の頻度ともいわ れています。これには、不安発作と全般性不安状態があります。  不安発作とは、理由もなく突然不安におそわれるもので、その際には身体症状が伴 います。身体症状としては、呼吸困難・動機・胸部圧迫感・窒息感・めまい感・手足 のしびれ感・発汗・気が遠くなる感じ、などがみられます。  全般性不安状態では、不安発作がおさまった後でも慢性不安状態の形で不安は存続 します。このため、「また不安発作がくるのではないか!?」という予期不安を伴う ことが少なくありません。このため、一人で外出したりすることに制限が加わってし まう場合もみられます。  不安神経症では、薬物治療が著効を呈することが多いので、担当医の指示に従い しっかりと服薬することが重要です。また状態が良くなり服薬をやめる際も、一度に 全部やめてしまうと、再び発作におそわれることがあるため、徐々に一週間ごとの ペースで漸減してゆくことが必要です。また、不安発作が生じやすい条件としては、 その頭文字を取って「HALTの状況」になっていないかどうか、自ら検討することも大 切です。HALTとは、Hungry(空腹)、Angry(怒り)、Lonely(孤独)、Tired(疲 労)を意味し、このような状況下で人は不安状態に陥りやすいとされます。朝食や昼 食を抜いたり、職場で激しく口論したり、海外で強い孤独感を感じていたり、ひどく 疲れているときは、不安神経症に陥りやすいので注意が必要です。もし自らの状況を 点検してHALTがあるようであれば、これを減じるようにライフスタイルを改善するこ とが必要です。  他に恐怖神経症、強迫神経症、抑うつ神経症などが神経症の種類として挙げられま す。また海外勤務を契機として不適応状態からうつ病に陥るケースもあります。 <予防対策>
 海外赴任者がこのような病態に至る大きな要因には、環境変化にせよ対人葛藤にせ よ、種種の状況因により「心理的疲労」をきたすことがあげられます。人は心理的疲 労状態に陥ると、現実生活を送るための適応能力が低下し、不安症状や抑うつ症状が 出現します。そして、これら病的不安に対し、抑圧・逃避・反動形成・置き換えと いった心理的防衛機制が作用しますが、心理的疲労状態では、これらの諸機能がうま く奏功せず、結果として種々の神経症症状を生じることになると考えられています。  すなわち海外勤務においてこれらの疾患を予防するという視点からは、心理的疲労 状態に陥らないことが肝要といえます。そのために注意点としては以下のものがあげ られます。1)対人関係や環境変化などでストレスが生じた際には、できる範囲内で 問題解決に積極的にアプローチし、消極的・逃避的な対処をしないこと。また、周囲 に仲間を十分に確保し、語り合ったりスポーツをしたりして積極的に気分転換を図る ことも重要です。2)楽観的姿勢を保持すること。海外では予測不可能な事態が多 く、自分一人で深刻に問題を抱えすぎるという悪循環に陥る危険性があります。無責 任というのではありませんが、「どうにかなるさ!」と考え、鷹揚に構える姿勢も海 外では必要です。3)生活や仕事に充実感を得られるように工夫すること。充実感の ない精神に空虚な状態というのは想像以上に精神的に消耗する側面があります。何ら かの着眼点を見つけ、より充実した楽しい日々を送ることが大切です。4)仕事の量 を適制限内に押さえ、職場での人間関係を良いものにする。特に職場内の人間関係は 重要です。いかに工夫しても職場内人間関係が改善しない時は、その状況から心理的 ・u梛覧」を取る必要が生じる場合もあります。  最後に、神経症やうつ病を有しながら海外赴任に赴く場合は、しっかりと服薬し、 日本の担当医とも万一の時に連絡を取れるようにしておくこと、そして現地で信頼で きる医療機関を確保することが必要です。症状が増悪する場合には、速やかに帰国す ることが原則となります。過去に精神科治療歴を有する人の海外渡航は慎重を要する といえます。