ニュースレター 16号

ホープコネクションからのご挨拶

あけましておめでとうございます。 

 昨年はミレニアムに沸き、そしてシドニー五輪開催と華やかな中にも忙しい一年でした。

 さて21世紀へと入り、皆様はどのような願いをもたれて新年を迎えられましたか。ホープコネクションは州政府に団体としての正規登録をして活動を開始してから今年で満5年になります。 当初より続いている電話相談では週5回、月曜日から金曜日まで、皆様の幅広い分野での相談をうけてきました。活動開始2年めにはカルチャースクールをスタートさせ、その時々の必要性に応じて課題を選び、その方面に詳しい講師をお招きしお話ししていただいています。昨年度最後のカルチャースクールはメルボルン日本総領事館から邦人保護担当領事天野行哲氏をお招きしオーストラリアで楽しく、かつ安全なくらしができるためのknow howをお話していただきました。お話しの内容はこのニュースレターに寄稿していただきました。さらに、年4回ニュースレターを発行するなど、より充実した活動を行って皆様のニーズに答えることができてきていると確信しています。 

 さて今年は連邦100年記念行事が目白押しにあります。 シドニー五輪とは又違った、国をあげてのお祝い行事が各州で計画されています。

オーストラリアでの生活をエンジョイしてください。

 新年にあたり皆様のご健康とご多幸をお祈りいたしますとともに、本年もホープコネクションにご支援を頂けますようお願い申し上げます。

安全な生活を送るために メルボルン総領事館 領事 天野行哲

 皆さん、メルボルンは日本と比較して治安がよいと思いますか?悪いと思いますか?オーストラリアの中でもメルボルンは特に治安の良い都市と言われています。しかし現実には、強盗、窃盗等の事件は日本とは比較にならないほど多く発生しています。今回は、特に日本人が被害に遭いやすい犯罪について、その発生状況と防犯対策について、触れてみたいと思います。

まず、置き引きについてお話ししたいと思います。

 メルボルンやアデレード市内のレストラン内で、バッグ類を足下に置いていたり、椅子に掛けていて、バッグごとあるいはその中の財布を盗まれるケースがよく発生しています。また、ホテルのロビーでチェックインチェックアウトの際、カウンターの上や足下に置いていたバッグを盗まれる事案も発生しています。メルボルン空港の国内線の手荷物検査場では、見知らぬ男に声を掛けられ、気を取られている隙に、その共犯者に検査を終えたバッグを盗まれる事案も発生しています。置き引きの被害に遭わないためには、・貴重品の入っているバッグから絶対に手を離さないこと、・必要以上に現金を持ち歩かないこと、・旅券、現金、トラベラーズチェック等大事なものは分けて携行すること、等の配慮が大事です。また、手荷物検査場といえども自分の荷物から絶対に目を離さないことが重要です。

次に車上狙いについてです。

 この被害については、時間帯、場所に関係なく被害にあっています。特に座席の上など外部から見える場所に、バッグや携帯電話をおいていてバッグごと盗まれる事案が多く発生しています。この犯罪に対処するには、・貴重品を車の中におかないこと、・外部から見えやすい場所に荷物をおかないこと、等の配慮が必要です。また、車両の盗難を防止することと併せて、人気のない路上、駐車場に車を止めることも避けて下さい。もちろん車を離れるときにドアをロックすることは言うに及びません。

三つ目は侵入盗についてです。

 侵入盗の被害には、特に一戸建ての個人住宅がよく被害にあっています。深夜のしのび込みと昼間の空き巣が多く、窓ガラスを割ったり、鍵を壊したりして侵入するケースが多いようです。メルボルン総領事館が管轄するヴィクトリア、南オーストラリア、タスマニア州では、いずれの州も事件発生後30日間以内の検挙率は7〜8%と低い数値を示しており、盗まれたものはまず戻ってこないと思って間違いありません。この犯罪に対処するためには、・こまめに施錠すること、・ドア、窓など侵入しやすい箇所には複数の鍵を取り付けること、・鍵は入居後、あるいは紛失したときなどは取り替えること、・鍵の管理を徹底すること。植木鉢や庭石の下に隠したりすることは絶対にやめる、等が重要であり、出来れば警備機器を設置するなどの配慮が必要です。また、かかってきた電話には先に名乗らない、旅行等留守中の防犯をお願いできる隣人を作ることも重要なことです。

四つ目は自動車盗についてです。

 被害場所を見てみると一番目が道路上、二番目が車庫のない住宅で発生しています。盗難対策のされていない中古車や高級車が被害を受ける傾向にあります。侵入盗と同様に、事件発生後30日以内の検挙率は各州共に10%以下で、特にタスマニアは約3%と極めて低い率を示しています。自動車盗の被害に遭わないためには、・できる限り人が管理している駐車場を利用すること、・管理者がいる駐車場が見つからない場合は、できる限り明るいところに車を止めること、・短時間であっても駐車中は必ずロックすること。、・住宅を選ぶ場合には、必ず車庫の備わった住宅を選ぶこと、が必要です。

五つ目は詐欺についてです。

 メルボルンでは、Fという偽弁護士に大勢の日本人が金銭を騙し取られています。この男は、自ら弁護士を名乗り、事実弁護士事務所の一室に自室を構えていたため、誰も偽弁護士とは気づきませんでした。被害者の多くは、契約書の内容を十分に確認せずにサインをしてしまったり、領収書を受け取っていませんでした。

 また、シドニーでは中国系シンガポール人(Jeffrey Weng Keong China)による日本人女性を対象にした寸借詐欺事件が連続して発生しています。中には300万円騙し取られた女性もいるようです。この男は、一度は逮捕されたもののすぐに保釈となり、現在行方をくらましていますが、無類のギャンブル好きのため、カジノのある都市が活動拠点になることは間違いなく、メルボルンは特に要注意です。

その手口は、独り歩きの女性に親切めかしに近づき、親しくなると「お金を無くして困っている。すぐに返すから貸して欲しい。」等と同情を誘って次々とお金を騙し取るというものです。いずれのケースもすぐに人を信用してしまう日本人の隙を狙ったものといえます。

 詐欺の被害に遭わないためには、オーストラリアは他の西洋諸国と同様に契約社会であることをまず肝に銘じるべきです。口約束は絶対に信用してはいけません。その上で、・必ず文書(契約書)にし、納得した上でサインするとともに、領収書は必ずとること、・どんなに相手に急かされても一度契約書を持ち帰るなど契約内容を十分に確認する余裕を持つこと、が重要です。一度サインすると取り返しがつきません。

また、「お金を落とした、無くした。」というのは100%嘘と思って下さい。はっきりNOと断りましょう。・独り歩きは極力避けること、・人を簡単に信用しないこと、・なれなれしく近寄ってくる人には特に注意すること、等が必要です。

六つ目は強盗についてです。

 各州とも路上強盗が全体の40%を占めています。特にヴィクトリア州では、刃物などを用いた武装強盗が著しく増加しています。

 南オーストラリア州では、日本人男性が車で旅行中親切心から乗せたヒッチハイカーに刃物で刺されるという事件が発生しています。犯人は逮捕されましたが、最初から強盗目的であったようです。

強盗の被害に遭わないためには、・人気のない道は歩かないこと、・夜、一人で出歩かないこと、が重要です。

 また、旅行者やウィンドウショッパー等のだらだら歩きは禁物です。常に周囲に注意し、きびきびと行動するなど毅然とした態度が必要です。ヒッチハイクは、オーストラリアの各州で法律によって禁じられています。乗せても乗せられても罰せられます。見知らぬ人間を車に乗せるのは絶対にやめて下さい。

七つ目はこれまでと反対に犯罪の加害者にならないということです。

 オーストラリアで安全に生活するためには、犯罪の被害者にならないことは当然ですが、加害者にならないことも重要です。日本人の感覚では些細なことでも、オーストラリアでは犯罪となり裁判沙汰になることがよくあります。たとえば、公共の場所で飲酒すると罰金刑が科せられますし、事実、酒を飲んで騒いで逮捕された日本人もいます。「郷にいれば郷に従え」のたとえ通り、オーストラリアの生活習慣に従うことが重要です。また、特に気を付けていただきたいのは、空港や駅などで見知らぬ人に「荷物を預かって欲しい」と頼まれても絶対に引き受けないで欲しいということです。その荷物の中には何が入っているか分かりません。薬物かも知れません。身に覚えのないことで処罰されないためにも充分気を付けて下さい。

 今回申し上げた防犯対策は、皆さんの心がけ次第でいくらでも効果が期待できるものです。「海外で身を守れるのは自分だけ」と言うことを肝に銘じ、是非実践していただきたいと思います。

 

オーストラリアで快適な留学生活を過ごすために  (1)

 オーストラリアには、毎年沢山の方々が留学生として来豪されます。学生として海外にやって来て、新しい土地・新しい生活になじむまでには気が付かないうちにトラブルに巻き込まれる可能性も。新しく留学生としてメルボルンにいらした方にむけて、基本的な注意事項をお話ししていきたいと思います。

安全性

 オーストラリアは比較的安全な国ですが、日本と同じ気持ちで油断をするのは禁物。こちらの人達は夜暗くなってから住宅地でのひとり歩きは殆どしません。車社会ですからちょっと近所までというような時も車で移動します。これは学校構内でも同じ。キャンパスの中は夕方からは人通りがなくなりがち。ですから日が暮れてからのひとり歩きは避けたほうが無難です。大抵の学校では”アフター・ダーク・バス・サービス” (日没後の無料巡回バス。主要ビルを回って、駐車場や駅まで送ってくれる)があるはずなので大いに利用してください。さらに構内でトラブルにあったときの連絡先(セキュリティーの電話番号等)は必ず控えて持ち歩くこと。このような情報はたいていスチューデント・ダイアリーに載っているので目を通しておきましょう。

 もう1つ気を付けたいのが置き引き。特に大学の図書館は誰でも出入りが自由ですから残念ながら時々被害が出るようです。席を立つときには貴重品を残していかないように注意してください。

 オーストラリア人はあまり現金を持ち歩かず、ちょっとした買い物はカードで済ませるのが一般的。したがっ

て比較的キャッシュを持っているアジア人留学生が狙われやすい、とも言われています。大金は持ち歩かずにエフトポスやクレジット・カードを利用するようにしましょう。自分のカードの番号や盗難時のカード会社の連絡先も別に控えておくといざというとき便利。また貴重品をバックの外ポケットに入れないというのは常識です。

生活面での注意

 一番に上げておきたいのは自分の意志を確実に伝えること。日本人は周りと歩調を合わせてやっていくのは上手ですが、自分の意見を表現するのは割りと苦手。対してオーストラリア人は自分の要求をはっきり相手に示します。言葉のバリアもあると思いますが、イエス・ノーを明確にすることはとても大切。もし言われていることの意味が解からなかったら理解するまで繰り返し尋ねましょう。それでも解からなければ紙に書いてもらい、その場で辞書を引いてみるのも良い手です。曖昧に返事をしておくとあとでトラブルになりがち。ただし自分の意見を言うときには相手に失礼にならないように伝える事も大事です。(「Thank you, but no thank you」のように。)

 ここにA子さんの例をあげてみましょう。彼女はオージーの女性Bさんとフラットでシェアをしていました。食事は各自別々ということで始めたのですが、まめに自炊をするA子さんとくらべて、Bさんは仕事の関係上帰りが遅く夕食は毎日9時すぎ。見兼ねたA子さんが多めに作ったある日の夕食の残りを帰宅したBさんに勧めると、Bさんは大喜び。それ以来Bさんは冷蔵庫の中のA子さんの残り物を無断で食べるようになってしまいましたが、A子さんは悪い気がして断わりきれませんでした。何日もこれが続くうち、A子さんは不満が爆発してBさんと大げんか、結局他のフラットに移るはめになってしまいました。Bさんは残り物は食べても良いと勘違いしていた訳ですから、A子さんが初めに「私が良いと言ったもの以外は食べないで」とひとこと言えばすんだものが、我慢をしたために事が大きくなってしまった訳です。

 これは単なる小さな一例ですが、同じような事が原因で大きなトラブルに巻き込まれないとは限りません。自分の意志を明確にして、面倒な混乱は避けたいものです。

(この「オーストラリアで快適な留学生活を過ごすために」は今後、不定期連載の予定です。)

人生の第三期を考える

 西暦2000年”New Millennium”と言って大騒ぎしていたのが、つい数週間前のような気がする、というのは大げさではないと言うことを最近発見した。周囲の多くの人がそう言っていたからである。一月「行く」、二月「逃げる」、三月「去る」とはよく言ったもので、これは英語にこのまま訳しても通じない巧言である。

 一月に入っても日本と季節が逆のせいか、どうしても日本に関連した会話になったり、話し相手が冬と夏を勘違いしているのが分かると「今は日本の冬」「今は日本の7月に当たる」などとややこしいことを言っている内に、やがて秋を迎え、冬を越してすぐに暑いクリスマス・年末の声を聞いてしまうという始末。

 ややこしい話になったが、実は一年が「あっ」と言う間に去ってしまうところを見ると、私たちの一生は結構短いのかも知れないということである。大昔約6000年前には人間は800才から900才まで生きたと聖書には書かれている。それがあの有名なノアの箱船の時代以降、人間の命が平均120才とされたとも。ともあれ、現在の私たちの平均寿命は70年から80年。

 邱 永漢というジャーナリストが「人間いつまでも生きているつもりなら、まだ時間はいくらでも残っている。しかし終着点を決めてしまうと、残り時間は限られたものになる。残り時間が決まっていて、その時間にどうしてもやりたいことがあったら、計画は残り時間から逆算して立てなければいけない。」と言っている。まさにそうだと思う。ある時は自分の年齢を考えて「残りが少ない果たして私は実のある人生を送ってきたのか」と焦りを感じることもあれば、いくらでも時間があるかのように結構時間を無駄に費やしてしまうこともある。

 今生きているということは偶然ではない、意味のあることである。ドイツの医師、心理学者であるポール・トウルニエは「人生は三つの時期に分けられます。子供の時代、職業人の時代、退職後の時代です。・・・・そこには二つの節目があります。子供から大人になる時と、職業人時代と退職後の時代との間。」と言っている。(著書「人生を変えるもの」)第一の節目にはいろいろの変化がある。受験、学業終業、就職、親からの自立。第二の節目はまた大きい。仕事に張り合いをもって力を入れていた人、子供の成長と独立に全力を掛けていた人が、いわゆる第三の年代と呼ばれる退職時代、子供の巣立ち後の時代に移行するのである。

結核、脊椎カリエスで13年間の療養生活を送り、その後も様々な病を背負いつつ、「氷点」を初め数々のベストセラーを生み出し、多くの人々の人生に深い影響を与えた作家三浦綾子氏は昨年77才で亡くなった。同氏が常々「私には『死』という大きな仕事が残っている。」と言っていた。

 私たちはよく困難なこと苦手なことに直面した時、いろいろないいわけを考える物である。「今は忙しくて時間がない」「都合がつかない」「そんな能力はない」「私には向いていない」などなど。しかし例外なく私たちが皆が言い逃れを許されず直面しなければならない事実がある。それが「死」というものではないか。トウルニエが、「老年は退職する前から始まっています。・・・・徐々にではあるが常に次の時代の用意をすることが必要です。・・・・しかし職業の時代には仕事に夢中になり、・・・・退職後の生活には全く準備が出来ていない人たちが大勢います。職業と共に失われない何かで人生を養っていなかったわけです。・・・」と言った。

 私たちから仕事、家事、勉強、趣味、交際など何であれ、生活の張り合いを持たせているすべてのものが取り去られたとき、私たちに精神的危機がやってくる。トウルニエは老年に成功するとは、自分の人生に、年をとってまでも失われない意味を見つけて生きることと言っている。

 さてここに、メルボルンで第三の人生を考え準備するための場所をご紹介したいと思う。その名は、 University of the Third Age (略してU3A )in Australia。U3Aは1972年にフランスのToulouseにてある大学教授の提唱のもと、退職した人々の生活向上を図るために発足した。この思想は急激にフランス全土からヨーロッパへと拡がっていき、1975年には国際U3Aが設立され、今では UNESCO やUNでも認められている。

 オーストラリアでは1984年に最初のU3Aがメルボルンで始まった。あらゆる分野の学識者や専門職から退職した人々の有志がお互いに自己の知識を分かち合う仕組みになっている。教える人も教えられる人も皆「第三の年代」の人で、国籍、民族、資格の有無など全く問わず会員になれ、一年に一回会費を納めれば、好きなだけコースをとることが出来る。人気があるもののひとつは、Current Affaires(時事問題)で、これは何年も続けてとっている人もいるほどである。クラフトや麻雀、スポーツなどの趣味のコースもある。

 ヴィクトリア州内には、約50カ所の U3Aがあり、下記のところに問い合わせれば、最寄りの U3Aを紹介してくれる。

 U3A Network-Victoria Inc.

CAE Centre  256 Flinders Street Melbourne 3000

Tel: (03)9652-0649 E-mail: u3anet@vicnet.net.au