ニュースレター 14号

ホープコネクションからのご挨拶

  今年は例年になく冬が早くやってまいりました。5月末にはすでに山岳地帯からの積雪便りが聞かれ、冬山を楽しむ人たちに朗報をもたらせました。テレビや新聞等で積雪情報といっしょに雪のスポーツを満喫している方々の様子が頻繁に報道されております。さて去る5月20日のホープコネクションカルチャースクールは年に一度の恒例項目となっております「メルボルン新人生活講座」が開催されました。当地で新しい生活を始められる方々へ生活必要情報、ヒント等を提供し、ご参加くださった20名ほどの皆様からのいろいろな質問も出て和やかな雰囲気で進行しました。少しでも実生活にお役に立っていただければ幸いでございます。

 ところでドラッグ問題の話題は事欠かない近年ですが、最近は薬物常習者の過量使用による生命危険といった記事も目にします。ヴィクトリア州議会でもDr Penington の調査結果を元に正しい使い方、使用量のコントロール等の目的から Injection Room (薬物注射室)設置法案が審議されております。候補地域に選ばれたところ以外の一般市民の間でも賛否両論の議論が盛んです。試験的仮設とはいえ、周りに住む方々にとりましては大変複雑な心境ではないかと思われます。ホープコネクションは第10回カルチャースクールおよびニュースレター第11号でドラッグ問題を取り挙げましたが、再び薬物常用者を持つ親、友人などが常用者にどのように対応したらよいか、上手な付き合い方、話し合いの仕方、理解の仕方等、カルチャースクールでも講師にお願いした Sandra Roeg さん(Turning Point Alcohol & Drug Centre Inc. にて教育、トレーニング部門担当)にホープコネクションのメンバーがお話を伺ってまいりました。今号から数回にわたってその内容を連載いたします。他人事とは言えないほどまで薬物使用者が増えているとも聞いておりますので、記事がいくらかでもお役に立てばと願っております。

 なお次回カルチャーースクールはこれまでとやや趣向を変え、「食材探検」と題し8月19(土)に開催されます。詳細はニュースレター最終ページをご覧ください。

ホープコネクションからのお詫びと訂正

ホープコネクションニュースレター12号4ページのカルチャースクールのお知らせ及び13号1ページのビザに関するQ&Aにおいての記載を次のように訂正させていただきます。このような誤りが生じましたことを深くお詫び申し上げます。

誤)谷中利豪弁護士

正)Law Partners 法律事務所日本担当 谷中利豪

なお谷中氏は本年5月、同法律事務所より解雇されています。

 

「新人講座」紙上レポート

 去る5月20日(土)豪日協会のオフィスをお借りして「メルボルン新人生活講座」が開催されました。日本での新学年、社員異動の時期とほぼ重なるころを毎年選び、今年で同講座は4回目を数えました。おかげ様で回を重ねるたびに内容も充実してまいりまして、参加された皆様には好評をいただいております。

 今回は通訳サーヴィス、公共交通機関の使い方、医療システム、家屋の賃貸、銀行口座開設の仕方、教育、日本語放送及び日本語情報誌紙のご紹介など多岐にわたって、わたくしどもホープコネクションのスタッフが体験談などを交えながら要点の解説をいたしました。会場の皆様からもチャイルドケアのこと、公立、私立病院の違い、子どもたちに日本語を保持させるには、などのご質問が出たりと会場は打ち解けた雰囲気が流れ、新しい地での生活に不安よりは期待と自信を持たれたようでした。

 紙面の都合で全ての内容をレポートできないのが残念ですが、今回のプログラムのひとつである通訳サーヴィスについて詳細を以下にご紹介したいと思います。

<通訳サーヴィスについて>

まず連邦政府の年中無休24時間の電話通訳サービスを紹介します。

TIS (Translating and Interpreting Services)

電話 13 1450

ビジネスアワー $10

時間外 $16

 話したい相手の電話番号と名前を前以てご自分で用意してください。以前は公の機関に電話する場合のTIS使用料は無料でしたが、現在はそうではありません。しかしながら相手側が通訳料を負担する場合もあります。相手側の予算とタイミングにもよるため、どの会社が負担するかは一概には言えません。TIS の担当者によればGPなどのメディケア関係は相手持ちのことが多いとのことです。民間の通訳会社より格段に安いのですが、交換手が出るまでかなり待たされます。交換手に日本語通訳が必要である旨を告げ、さらに日本語通訳が電話口に出るのを待つため時間がかかることは覚悟してください。また通訳を常に提供できる保証はありません。

 支払いはクレジットカード、小切手、マネーオーダーが使えます。価格は6月以降変わる可能性があります。TISは翻訳サービスも行なっていますが、こちらはすべて有料です。

 待ちたくない場合、どうしても通訳が必要な場合、ご自分で通訳を同伴しなくてはならない場合は民間の通訳会社を利用します。 イエローページ、ドーモで探すことができます。

 政府関係のサービスにおける通訳は無料の場合がほとんどなので、自分から申し出てください。例えば、警察に行ったり、病院に行く場合は予約の電話を入れる際に同時に通訳も予約するようにしてください。自動車免許試験、公立病院、センターリンクなど無料通訳サービスを依頼できる公の場はたくさんあります。

<注意する点>

1. 通訳と翻訳は別のサービス

証明書など文書は翻訳サービスへ依頼します。通訳に書類などを読んでもらうことは原則的にできませんが、例外に運転免許試験があります。この場合は英語で書かれた試験問題を日本語に訳して口頭で読んでもらうことができます。

2. 自分から要求すること

相手からわざわざ「通訳が必要ですか」と尋ねてくれることは稀です。自分から申し出ましょう。

3. 通訳者はアドバイザーや代言人ではありません

先に自分の考えをまとめて、あるいは専門家と相談しておくことが必要です。

ドラッグ問題を考える(その1)-親子のコミュニケーション

<Turning Point Alcohol & Drug Centre Inc. の Sandra Roeg さんにお話を伺いました> 

 親にとって子供のドラッグ使用は見るに耐えないことです。どの親も直ちにやめて欲しいと願うわけですが、さてどのようにしてやめさせることができるでしょうか。親にもサポートは必要です。ドラッグについての懸念や感情を友人、家族など誰かと話し合ってみてはどうでしょう。

 大麻は現在、違法物質の中では最も多く使用されているものです。親は、まず大麻が人にどんな影響を与えるか正しい情報を知る必要があります。もし子供が大麻を使用していることに気づいて、やめさせたいと思ったとき、子供に「大麻使用には賛成じゃないわ、あなたも大麻のことをもっと調べてみなさい。そうすればどんな影響があるのかがわかるでしょうから。」 と話すことができます。

 子供が大麻を使用している場合、注意する点がいくつかあげられます。頻度はどれくらいでしょうか。もしかすると一度試しただけかもしれません。それとも週末だけ、あるいは毎日でしょうか?子供は普段の行動、例えば学校生活や交友などを維持しているでしょうか?ドラッグ使用以外の生活活動を維持しているのであればさしたる問題ではないかもしれません。精神的、身体的な状態に変化が見られますか?親自身の状態はどうでしょう?ドラッグ問題以外に何らかのプレッシャーを抱えてはいませんか?家族からのサポートは得られますか?

 思春期の子供は変わりやすいものですが、その通常の変化をはるかに越える大きな変化が子供の素行に現われた場合は気を付けなくてはなりません。食生活、交友関係が大きく変わったり、極端に機嫌が悪かったり落ち込んでいたりする場合です。誰でも我が子がドラッグを使用しているとなれば胸が痛みます。ダメージにつながるような行動は何もして欲しくないと願うのが親の心でしょう。

 大麻はソフトドラッグとも言われヘロインに比べると軽いドラッグですが、人間の機能を低下させ、多量に摂取すればかなり気分が悪くなります。長期使用の影響や精神病との関係において未だに論争が続いているのが実情です。アルコール問題にも似ていると言えます。長期にわたって毎日6杯以上飲み続けたり、妊婦が毎日1本飲むとなれば問題が生じますが、週末に1-2杯なら問題にはなりません。しかしながら一方は合法、もう一方は違法であることを覚えておいてください。

 大麻はさらなるドラッグ使用への入門書だと言われますが、必ずしも真実ではないと言う説もあります。大麻使用者は大麻だけを摂取し、中にはアルコールを摂取する人もいますが、ヘロインなど他のドラッグに手を出さない人が多数です。大麻使用が発覚した場合に親と子の間で、どのような妥協策を講ずることができるでしょうか?親が子供の大麻摂取量を制限する必要があるかもしれませんし、「あなたがドラッグに影響されている姿を見たくないのよ。」と家の中では使用しないように頼むこともできます。

 親には戦略が必要です。できれば子供と一緒に作戦を考えてみてください。子供を叱れば自分から離れてしまうことを心配する親もいらっしゃると思います。親には何の力もないような気にさせられますが、常に子供を導く方法はあるのです。子供と良いコミュニケーションを保ち、ドラッグについて話し合うことが重要です。「ドラッグはいいことではないわね、私の子供達はドラッグに手を出して欲しくないわ。」アルコールって何?大麻は?ヘロインは?どうしてヘロインのことがこんなに話題になっているの?会話のきっかけをつくるために友達のことを話題にしてみましょう。友達でドラッグやってる子はいる?学業に影響してる?友達としてどう思う?もしその子がドラッグを使用してなかったらどうなってるかな?親が子供の行動に興味を持っていることを示してください。年頃の子供だけでなく、年少の子供も含めて家族全員で話し合いましょう。なぜならドラッグは常にニュースになっており、誰でもすぐ手の届くところにあるからです。私達はアルコールを飲み、煙草を吸います。18歳になればLの運転免許を取ることができますが、免許を取る前にアルコールの影響について親は指導しなくてはなりません。自分が知らないことは「わからないけれど、調べておくわ。」と答えればいいのです。

 ドラッグ問題全般についてはHarm minimisation、害を最低限にとどめる戦略がひとつの方法です。家庭内でドラッグの使用が発覚した場合に、家族への害をいかにして減らすかということです。お互いに妥協することとなるため、親にとっても子にとっても、満足行く結果とはならないかもしれません。簡単なことではありません。爆発することなく落ち着いて話し合うことが大事です。すべてを直ちに解決してくれる魔法の杖は存在しないのです。

 Turning Point では 24時間のDirect Lineというドラッグに関する電話相談および情報を提供しています。ご家族もDirect Lineのサービスを利用することができます。

Direct Line 03 9416 1818 日本語の通訳が必要な場合は、この電話番号におかけになり通訳を依頼して一旦受話器を置き、先方からの電話を待つ形になります。相談、通訳共に無料です。

 ドラッグに関するさまざまな情報、教育のためのビデオなどはAustralian Drug Foundationより入手できます。

電話: 03 9278 8100

メール: adf@adf.org.au

父と子って?

 思春期に子供達が入ってくるころから以前と違って日本のお父さんの場合は子供との付き合いが難しくなってきます。女の子の場合は今までチュッチュ、チュッチュとキスしていたのが急に「お父さんはきたない。」と言い出したり…(日本のテレビの影響が強いのかも?)お父さんのほうでも「このバカヤロウお前なんか出て行け。」ぐらいのフレーズしか言えなかったり…(情けない)でも小さいときから信頼関係が養われている親子の場合は親子喧嘩もストレス解消かもと思えてくるのですが…本当に拗れてしまう親子も多くあります。ここで筆者が最近感動してしまった話を2つ紹介したいと思います。

- アメリカのある高校での話 -

ある女の先生がクラス全員の生徒の胸にその子の長所を書いたシールを貼ってあげました。その日のうちからクラスの雰囲気は何だか変わってきました。3日経って先生は彼らに3枚のシールを渡し、「あなたも誰かに同じようにシールを胸に付けてあげなさい。」と言いました。一人の子は就職指導でお世話になった重役を訪問してその人の胸に「あなたは大変優しい重役です。」と書かれたシールを貼りました。また残っていた2枚のシールを重役に渡しました。その重役は今度は社長の胸に「あなたは発明の天才です。」と書いたシールを貼りました。社長の手の中には最後の1枚のシールが残りました。

 社長は自宅に帰ってきてから息子の部屋に行き話し掛けました。「お父さんはいつも仕事が忙しくお前と話す事もしていなかったし、勉強の事でも叱った事があったよね。でもお父さんはお前の事を世界一の息子と思っているよ。お母さんの次にお前を愛しているよ。お前の胸に世界一の息子とかいたシールを貼ってもいいかい。」息子は静かにうなずきました。シールが貼られると、息子は涙を流し、やがて大きな声を上げて泣き始め、それが一時間あまりも続いたそうです。やっと泣きやんだ彼は話しだしました。「お父さん、実は僕、今夜自殺しようと思っていたんだ。僕なんか愛されていないと思ったから。でもお父さんがこの僕を愛してくれている事がよく分かったよ、だからもう自殺なんかしないよ。」

- 日本のある高校での話 -

ある高校にA君とB君という少年がいました。A君はクラス一の悪で、よくお店でかっぱらいや、ひったくりなどを悪仲間と一緒にしていました。B君は真面目で小心者の少年だったのですが、A君に誘われてどうしても断わり切れず、お店でA君と一緒にかっぱらいをして見つかり皆と一緒に警察に引っ張られて行きました。B君の父親は息子の顔をみるなり「何でこんなみっともない事をしたんだ、情けない、それでも俺の子か。」などとさんざん皆の前で息子を罵倒しました。A君の父親は大工さんで、仕事を放り出して慌てて警察に駆け込んできて、息子の顔を見るなり「お前がこんな悪い事をする訳がない、これは何かの間違いだ。こんなわるいことなんかお前には出来やしない。」と息子の事を盛んに弁護し、「もし本当にお前がしたんだったっらお前を育てたこの俺が悪いんだ。」と皆の前で土下座して謝ったそうです。

 クラス一の悪だったA君、お父さんの言葉に感動して、それ以来悪い事など一切しなくなり、また勉強も良くするようになり大学にも進学したそうです。ただ誘われただけのB君はどうなったでしょうか?本当の不良になってしまったという事です。

 親は誰でもよっぽどの人でない限り自分の子供の事は愛しています。でもそれが本当に子供に伝わっているでしょうか?また人は誰でも「自分は愛されている存在なんだ」という気持ちで頑張っていけるものではないでしょうか。

 今、オーストラリアのハイスクールの7年生からでもマリファナなどのドラッグが生徒の間で売買されているそうです、そのうちの何人かは8年生になったときには常用しているとのことですし、学校の中でも随分多くの生徒が1回や2回は経験していると筆者は聞いています。友達から誘われてというケースがほとんどで、兄姉やボーイフレンドからというケースも多い様です。よい友達を多くつくれる子供になってもらうためにも、日頃からの親子の信頼関係は大切ですし、子供に何か起こったときでも子供を救える大きな役割を果たしていくのではないでしょうか?

 信頼関係を築き上げるためには、気楽にコミュニケーションできる雰囲気作りをしていくうちに人生観や価値観なども話し合えるようになっていくと思います。先程の話の中の大工さんのように、子供のためには自分を投げ出して子供を救えるような親になりたいと筆者は思いました。